コラム

白血病になったら琉球朝日放送に取材された話

どうも宮平です。

白血病闘病記を途中で書かなくなってしまい、おそらく周囲から
「あいつは◯んだかもしれない」
と思われても仕方ないと思っているのですが無事生きています。

2023年に造血幹細胞移植を行い、2024年現在は無事再発もなくなんとか生き延びています。

さて、退院してからいろいろなことがありすぎたので時間がある時にゆっくり記していきたいと思っていますが、今回は地元沖縄のテレビ局である琉球朝日放送さん(以下QAB)に取材された話を書いていこうと思います。

もしかしたらこれからテレビ出演を考えている人にとっては参考になる情報かもしれません。

ゆいまーる精神をどう届ければ良いのか

2023年の2月に僕は移植を行い、
5月に退院。
そこからリハビリを重ね、ようやく主治医から飛行機の許可がおりた僕は
久しぶりに沖縄に帰ることになりました。

那覇空港に到着し、沖縄の外の空気を吸った時、なんだかこれまで頑張ってきたことが全て報われたような感覚になり、自然と涙がこぼれ落ちそうになっていました(我慢してました)。

僕の地元の友人たちも退院祝いということで集まる機会を設けてくれて、元気な姿でみんなに会うことができたのもひとえにみんなのおかげでしかないと今でも思っています。

【白血病闘病記3】初日の抗がん剤治療!沖縄の繋がりの凄さを感じた運営者の宮平です。 まさかの3日連続ブログを更新してしまうと、 「あいつ本当に入院しているのか?」 なんて思われそうな...

みんなの顔を見た時に率直に
「みんなで困っている人を助け合うゆいまーる精神をもっと世の中に発信したい」

そう思う自分がいました。

その時に僕は何を思ったのか、地元のQABに直談判という形で僕のことを取り上げてほしいということを伝えたのです。

QABを選んだ理由

引用:QAB

数あるメディアの中でもQABを選んだのには訳があります。
それは、高校時代に「めざせ甲子園」という人気コーナーにインタビューをされた経験があるからです。

その時に僕はこう思いました。

「あの時インタビューをしていた高校球児が10年後に白血病になって、周りのサポートがあり今は退院して日常生活を取り戻しつつある」

そんな点と点が結びつくようなことがあればメディアとしても、
「なんか面白そう!ぜひ取り上げてみたい」
なんて思うだろうと勝手に思っていました。

そんな僕のテレビに出たいという下心、、、ではなく作戦を実行しようとQABの問い合わせフォームより僕はこのような文章を送りました。

〜前略〜
貴社のテレビコーナー「めざせ甲子園」のインタビューVTRとして出演させていただきました。この節はどうもありがとうございました。

さて、件名にもある通りですが、2年前の9月に私は急性リンパ性白血病という血液のがんを患ってしまいました。水泳の池江璃花子選手が東京オリンピック出場前に患った病気と同じものです。私は今年2月に造血幹細胞移植を行い、今はなんとか回復し日常生活を送れております。

しかし現実問題、私が入院していた都内の病院、そして全国の病院では、この造血幹細胞移植を受けたくても受けられない血液疾患の患者さんが大勢いることがございます。どんな名医でも、その患者さんに合った白血球の型を持つ健常者がいなければ病気を治すことができません。

そのドナーになる方は骨髄バンクの登録が必要ですが、その登録者数が伸び悩んでいることと同時に、60歳を迎えると引退される現在の50代の方が大半を占めているので今後さらに移植を受けられない患者が増えてくることが予想されます。

なぜ私がこのお問い合わせを差し上げているかの話をさせてください。

私が病気になった知らせを聞いた地元の方々、そしてその方々の知り合い(お互い知らない関係性)ですら、私のために寄付金募ったり、骨髄バンク登録をしてくれたという知らせを受け、今の私の命が存在していると思っています。
・支えてくれた多くの方々に今元気に過ごしていることへのご報告
・今病気で闘っている方々が未来への希望を捨てずに治療に向き合って欲しいメッセージ
・私が助けられたように、今度は私が誰かの命を一つでも多く救いたいという恩返し

この3つの理由から、どうか貴社(メディアの持つ力)のご協力のもと、何か発信できればと思っています。

私の経験から、沖縄の方々には感じて欲しいものがたくさんあります。

例えば人口に対する骨髄バンク登録者数が沖縄県は全国一位であることをどれくらいの人が知っているのでしょうか。私は沖縄の「ゆいまーる精神」が知らず知らずに沖縄だけでなく、全国的にも広がっていることをもっと発信されていくべきだと思っています。

それと同時に、骨髄バンクの登録者数が同時に増加できた暁には、全国の救える命が1人でも2人でも増えると思っています。

どうか私を「ネタ」として利用して構いませんので、私と一緒にこの素晴らしい沖縄の良さを発信をしていけないでしょうか?

どうぞご検討の程よろしくお願いいたします。

我ながらいい文章だ!
なんて微塵も感じておりませんが、この問い合わせ後に記者の方から
「ぜひ取材させてください」
と連絡が入り取材に進みました。

実際に放送された内容についてはここでは割愛しますが、この取材から学べたことを僕なりにアウトプットしていきます。

誰かを動かすために必要なこと

ここでいう「動かす」というのは決して操るという意味ではないことを言わせてください。

一個人のお願いを組織が動くとなるのは相当の労力と時間が必要になってきます。
まさに今回の場合は、僕個人が勝手に白血病になって復活したから僕のことを取り上げてほしいみたいな形になっていると言えばなっているのですが、ニーチェの言葉を借りると

「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」

僕が白血病になったという事実だけではおそらくQABは僕のお願いを普通に断っていたと思います。じゃあ僕の事実をQABにどう解釈させるのかを僕なりに言語化したのが問い合わせフォームの内容です。

ポイントとなったのは

  1. 数年前に高校球児として取材をしていたこと
  2. その球児が白血病になって今復活しつつあるということ(①②の点と点が結ばれる瞬間)
  3. 沖縄のゆいまーる精神を体現化した出来事であること(地元メディアとしても扱いやすい)

多分この3つだと思います。

これは勝手な思い込みでもあるのですが、コロナ禍になってどこもロケなどに行けず、どこのメディアも「全国のコロナ患者は◯◯人です」という報道に対して、僕は

「メディアも取り上げるネタがないからこればかり流しているのかなぁ」

なんてネタがないのではと思っていましたし、メディアは常に”今日起きた何か”を追っている姿もなんとなく知っていました。
だからQABにとって僕を取材することでのメリットがあるような書き方をしたのです。

あとがき

いかにもテクニック風に書いた内容ですが、実はこれはテクニックでもなんでもなく、
どのように事実を解釈するかという話であり、加えて相手にとってどうメリットがあるのかを提示する人間関係やビジネスにおいても必要最低限のスキルだと思います。

そして相手が思っていることを素直に丁寧に言語化してあげることだと思います。
その言語化の能力って一見たくさんの文字を書いたり、喋ったりする能力だと思われがちですが、どちらかというと「事実をどう解釈するか」の繰り返しだと僕は思っています。

このサイトを立ち上げるきっかけとなった理念をはじめ多くの人の心の中にしまっている感情をこれからも言語化できるように頑張っていきたいと思っています。

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